手術室看護 看護師

ターニケット手術の看護|目的・観察項目・圧・時間・合併症を解説

ターニケット手術の看護|目的・観察項目・圧・時間・合併症を解説
大学病院 手術室副師長監修
監修者:伊勢崎 和也

聖マリアンナ医科大学病院 手術・IVRセンター 副師長。手術室看護経験18年。
主に整形外科の手術を得意分野としている。

本記事は、公開されているガイドライン・査読論文等を参照して執筆し、大学病院の手術室副師長が、周術期看護の観点から内容を確認しています。
最終更新日:2026年8月3日/監修日:2026年8月3日

ターニケットは、四肢の手術で術野への血流を一時的に遮断し、出血を抑えて術野を見やすくするために使用されます。一方、カフの圧迫や組織の虚血に伴い、皮膚障害、神経障害、ターニケットペインなどを生じる可能性があります。本記事では、手術室看護師が押さえたい目的、装着前の確認、術中の観察、解除時の対応を実践的に解説します。

この記事でわかること
  • ✓ 手術でターニケットを使用する目的
  • ✓ 装着前・加圧中・解除時に必要な看護
  • ✓ 外回り看護師と器械出し看護師の役割
  • ✓ 圧や時間を一律に判断できない理由
  • ✓ 合併症の早期発見に必要な観察項目
最初に確認

本記事は周術期看護の学習を目的とした一般的な情報です。ターニケットの適応、設定圧、装着時間、解除のタイミングは、患者の状態、術式、使用機器、麻酔方法、医師の指示、各施設の手順によって異なります。実際の臨床では、所属施設の手順書と使用機器の添付文書を優先してください。

1. ターニケットとは?手術で使用する目的

1-1. ターニケットとは

ターニケットとは、上肢や下肢の周囲にカフを巻き、空気圧によって血流を一時的に遮断する医療機器です。手術室では主に空気圧式ターニケットが使用され、カフ、接続チューブ、圧力を制御する本体から構成されます。現場では「タニケット」と呼ばれることもありますが、本記事では表記を「ターニケット」に統一します。

エビデンス

AORNのガイドラインでは、空気圧式ターニケットの安全な使用において、患者の術前評価、適切なカフの選択・装着、必要最小限の圧設定、加圧中の継続的な観察が重要とされています。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN).
“Guideline in Focus: Pneumatic Tourniquet Safety.” 2025.

1-2. 手術でターニケットを使用する目的

ターニケットを使用する主な目的は、手術部位への動脈血流を遮断し、血液の少ない術野を確保することです。出血が抑えられると、術者は神経、血管、腱などの組織を識別しやすくなります。術野の視認性向上は、操作の正確性や手術進行を支える一方、すべての手術で使用が必要とは限りません。

血流を遮断
術野の出血を抑制
解剖を識別
手術操作を支援

ターニケットには出血量の低減や術野確保という利点がありますが、虚血や圧迫による影響も生じます。そのため、「使用すること」自体を目的にせず、患者ごとの利益とリスクを踏まえて適応を判断し、必要な圧と時間をできる限り抑える視点が重要です。

出典:
Sharma JP, Salhotra R. “Tourniquets in orthopedic surgery.” Indian Journal of Orthopaedics. 2012;46(4):377-383.
Kam PCA, Kavanagh R, Yoong FF. “The arterial tourniquet: pathophysiological consequences and anaesthetic implications.” Anaesthesia. 2001;56(6):534-545.

1-3. ターニケットが使用される代表的な手術

ターニケットは、人工膝関節置換術、膝周囲の靱帯手術、骨折手術、手や前腕の手術など、四肢を対象とする整形外科手術で多く使用されます。また、術式によっては形成外科や血管外科などでも使用されます。使用の有無や加圧する工程は術式ごとに異なるため、術前に手術手順を確認する必要があります。

対象部位 使用される手術の例 看護師が事前に確認したいこと
上肢 手・手関節・前腕・肘周囲の手術など カフの装着側、点滴ルート、皮膚状態、手術体位
下肢 膝関節、下腿、足関節、足部の手術など 大腿部の周径、カフ位置、弾性着衣、神経障害リスク
その他 四肢を対象とする形成外科手術など 術式別手順、機器、必要物品、解除の予定時期

※代表例であり、適応を限定するものではありません。実際の使用は術式、患者状態、術者の判断によって異なります。

現場でのポイント

「この術式ではいつも使う」と思い込まず、予定術式、術者、患側、カフの装着位置、加圧予定のタイミングを術前に確認します。予定変更により使用しない場合や、手術途中から加圧する場合もあるため、タイムアウト時にチーム内で共有しておくと安全です。

1-4. 「ターニケット」と「タニケット」に違いはある?

「ターニケット」と「タニケット」は、医療現場では同じ機器を指して使われています。英語の「tourniquet」をカタカナにした表記として、文献や製品情報では「ターニケット」が多く用いられます。一方、会話では「タニケット」と短く発音されることがあります。検索時の表記は異なっても、基本的な意味に違いはありません。

表記のポイント

本文は専門的な表記として「ターニケット」に統一し、導入文とFAQで「タニケット」にも触れる構成にしています。表記を無理に交互使用するより、読者が迷わない一貫した文章にすることが大切です。

2. ターニケット手術における看護師の役割

2-1. 術前に患者背景と使用条件を確認する

術前は、末梢循環、皮膚状態、神経症状、血管疾患や血栓症の既往、糖尿病、カフ装着部位の創傷などを確認します。患者背景によって合併症リスクが異なるため、気になる所見は医師・麻酔科医と共有します。また、患側、カフの種類、予定圧、加圧予定時間、解除方法も事前に確認しておきます。

  • □ 患者氏名、術式、手術部位、左右が一致している
  • □ カフ装着部位に皮膚障害や感染徴候がない
  • □ 末梢循環や知覚・運動機能の術前状態を把握している
  • □ 血管疾患、血栓症、神経障害等の既往を確認している
  • □ 使用するカフと本体が正しく接続されている
  • □ 施設の手順と医師の指示を確認している
エビデンス

AORNは、ターニケット使用前に禁忌や合併症リスクを評価し、患者に適したカフを選択することを推奨しています。評価項目は一律ではなく、患者の循環状態、皮膚、既往、手術部位などを総合して判断します。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN).
“Guideline for Pneumatic Tourniquet Safety.”
Guidelines for Perioperative Practice, 2025.

2-2. カフのサイズ・位置・皮膚保護を確認する

カフは、患者の四肢の形状や周径に適したサイズを選び、しわや隙間が生じないように装着します。幅が合わないカフや不均一な巻き方は、必要圧の上昇や局所的な圧迫につながる可能性があります。装着部位の皮膚を確認し、施設手順と製品の使用方法に沿って保護材を使用します。

注意

消毒液がカフの下へ流れ込むと、湿潤した皮膚に圧迫が加わり、化学的・機械的な皮膚障害を招く可能性があります。カフを適切に被覆するとともに、消毒後は液だまりや被覆材の湿潤がないか確認してください。

カフ装着部位の近くに点滴ルート、持続血糖測定器、皮膚病変、骨突出部などがないかも確認します。患者の体位変換後にはカフのずれやチューブの屈曲が生じることがあるため、手術開始前に再確認することが重要です。

2-3. 加圧前にチームで条件を共有する

加圧前には、患側、カフ位置、設定圧、加圧開始の指示を声に出して確認します。設定圧を慣習だけで決めるのではなく、患者の血圧、四肢の周径、カフの形状、機器の機能などを踏まえた個別設定が重要です。看護師は指示内容と機器表示を照合し、加圧開始時刻を正確に記録します。

加圧前の声かけ例

「右大腿部のターニケットを、指示された設定圧で加圧します。開始時刻は○時○分です」のように、部位・圧・時刻をチームで共有します。施設でダブルチェックの手順が定められている場合は、必ずその方法に従います。

エビデンス

近年のガイドラインでは、単純に「収縮期血圧へ一定値を加える」方法だけでなく、動脈血流を遮断できる最低圧であるLimb Occlusion Pressure(LOP)などを用い、患者ごとに設定圧を調整する考え方が重視されています。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN). “2021 Guidelines: 6 Top Practice Updates.” 2021.
Tuncali B, et al. “Tourniquet pressure settings based on limb occlusion pressure determination or arterial occlusion pressure estimation in total knee arthroplasty.” Acta Orthopaedica et Traumatologica Turcica. 2018;52(4):256-260.

2-4. 加圧中は時間・機器・患者状態を継続観察する

加圧後は、経過時間、設定圧、機器の作動状況、アラーム、接続チューブの状態を継続的に確認します。併せて、血圧、心拍数、体温などの変化や、麻酔方法によってはターニケットペインを疑う反応にも注意します。異常や長時間の使用が予測される場合は、早めにチームへ共有します。

観察項目 具体的な確認内容 異常時の対応
経過時間 加圧開始時刻、経過時間、予定解除時刻 施設基準に沿って術者・麻酔科医へ共有
設定圧 指示値との一致、意図しない圧変動 自己判断で変更せず、直ちに確認する
機器 アラーム、接続、チューブ屈曲、電源 原因を確認し、チームへ報告する
循環動態 血圧、心拍数、不整脈などの変化 麻酔科医へ速やかに共有する
術野 出血の増加、駆血状態、カフのずれ 術者と連携し原因を確認する

※観察項目と報告のタイミングは、患者状態・麻酔方法・施設手順によって異なります。

2-5. 外回り看護師の役割

外回り看護師は、患者評価、カフと機器の準備、皮膚保護、設定値の確認、加圧・解除時刻の記録を担います。加圧中は経過時間と機器を継続して監視し、術者や麻酔科医へ必要な情報を共有します。解除後には、皮膚、末梢循環、出血、全身状態を確認し、記録へ残します。

副師長監修・現場の視点

ターニケット管理では「何分経過したか」だけでなく、誰が、どの時点で、何を確認するかをチームで明確にすることが重要です。加圧開始時刻を見える位置に表示する、一定時間ごとに声をかけるなど、施設内で確認方法を標準化すると見落とし防止につながります。

2-6. 器械出し看護師の役割

器械出し看護師は清潔野を担当しますが、ターニケット管理と無関係ではありません。術野の出血状態や手術進行を把握し、加圧・解除に関する術者の発言を外回り看護師へ確実に伝えます。解除前には、止血操作や必要物品を予測して準備し、解除後の出血増加に対応できる環境を整えます。

役割分担の要点

外回り看護師は機器・患者・時間を中心に管理し、器械出し看護師は術野と手術進行から必要な対応を予測します。両者が加圧開始、経過時間、解除予定を共有することで、記録漏れや準備不足を防ぎやすくなります。

2-7. ターニケット解除に備えて準備する

解除前には、術者の指示、解除予定時刻、止血操作の進行、麻酔科医の準備状況を確認します。解除すると患肢へ血流が再開し、術野の出血が増えるだけでなく、循環動態や代謝に変化が生じることがあります。器械出し・外回り・術者・麻酔科医が解除のタイミングを共有することが重要です。

重要

解除は単なる機器操作ではありません。解除前にチームへ予告し、出血への対応、バイタルサインの観察、カフ装着部位と末梢循環の確認までを一連の看護として実施します。解除後に確認すべき変化は、後半の「ターニケット解除時に起こる変化と看護」で詳しく解説します。


※次の章では、「ターニケットの圧設定と駆血時間の考え方」「上肢・下肢で圧が異なる理由」「ターニケットを外すと血圧はどうなるのか」を解説します。

3. ターニケットの圧設定と駆血時間の考え方

3-1. ターニケットの圧は患者ごとに設定する

ターニケットの設定圧は、上肢なら一律○mmHg、下肢なら一律○mmHgと決められるものではありません。患者の血圧、四肢周径、カフの幅や形状、装着部位、組織の厚さなどによって、血流を遮断するために必要な圧は異なります。高すぎる圧は神経や皮膚、筋肉への圧迫を強めるため、良好な術野を確保できる必要最小限の圧を選択することが重要です。

注意

「上肢は○mmHg」「下肢は○mmHg」といった数値は、施設や機器によって運用が異なります。看護師が経験則のみで圧を決めたり、医師の指示なく設定を変更したりしてはいけません。所属施設の手順書、医師の指示、使用機器の添付文書を確認してください。

3-2. Limb Occlusion Pressure(LOP)とは

Limb Occlusion Pressure(LOP:四肢血流遮断圧)とは、カフより末梢側の動脈血流を遮断できる最低圧です。LOPを測定し、安全域を加えて設定することで、固定された高い圧を全患者へ使用するよりも、患者に合わせた圧設定が可能になります。近年はLOPを自動測定できるターニケット装置もあり、過剰な圧迫を避ける方法として活用されています。

エビデンス

AORNは、可能な場合にはLOPを測定し、LOPに患者ごとの安全域を加えて設定圧を決定することを推奨しています。膝関節手術や手の手術を対象とした研究でも、LOPに基づく個別設定により、固定圧より低い圧で術野を維持できる可能性が報告されています。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN).
Guideline in Focus: Pneumatic Tourniquet Safety. 2025.
Tuncali B, et al. Tourniquet pressure settings based on limb occlusion pressure determination or arterial occlusion pressure estimation in total knee arthroplasty. Acta Orthop Traumatol Turc. 2018;52(4):256-260.

3-3. 上肢と下肢で必要な圧が異なる理由

一般に下肢は上肢より周径が大きく、皮下組織や筋肉も厚いため、血流遮断に必要な圧が高くなる傾向があります。ただし、必要圧は部位だけでなく、血圧、肥満度、カフ幅、装着位置などにも左右されます。上肢だから低圧、下肢だから高圧と単純化せず、患者と機器の条件を組み合わせて判断する必要があります。

覚えておきたいポイント

同じ血圧の患者でも、幅の広いカフと狭いカフ、大腿部と上腕部では必要な圧が異なります。看護師は設定値だけを見るのではなく、「どの部位に、どのカフを、どのように装着しているか」まで確認しましょう。

3-4. カフの幅と装着状態も設定圧に影響する

カフの幅や四肢への適合性は、血流を遮断するために必要な圧へ影響します。適切な幅のカフを四肢へ均等に密着させることで、圧を効率よく伝えられます。一方、サイズが合わない、巻き方が緩い、カフにしわがある、重なりが不適切といった状態では、局所的な圧迫や駆血不良につながる可能性があります。

  • □ 患者の四肢周径に適したカフを選択している
  • □ カフの内側や保護材にしわが生じていない
  • □ カフが均一に密着し、ずれや隙間がない
  • □ 接続チューブが圧迫・屈曲していない
  • □ 体位変換後も装着位置が保たれている

3-5. 駆血時間は何分まで安全?

ターニケットの駆血時間に、すべての患者へ適用できる絶対的な安全上限はありません。組織への影響は、圧、装着部位、患者背景、体温、循環状態などでも変化します。そのため「○分以内なら安全」と考えるのではなく、加圧時間を必要最小限にし、経過時間を継続して共有することが基本です。

数値だけで判断しない

臨床では90分や120分などを報告・再確認の目安としている施設もありますが、それ自体が安全を保証する時間ではありません。報告する時間、解除や再加圧の判断、長時間使用時の対応は、各施設の手順と術者・麻酔科医の判断に従います。

エビデンス

AORNは、患者の年齢や身体状態、ターニケットの圧、カフの位置、予定術式などを考慮し、加圧時間を可能な限り短くすることを重視しています。時間だけで合併症リスクを評価するのではなく、圧と時間の両方を含めて患者ごとに管理します。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN).
Guideline in Focus: Pneumatic Tourniquet Safety. 2025.

3-6. 長時間使用が予測される場合の看護

手術の進行から駆血時間が長くなる可能性を把握したら、設定された報告時刻を待たず、早めに術者と麻酔科医へ共有します。看護師は開始時刻、経過時間、設定圧、患者状態、手術の進行を整理して伝えます。解除や再加圧が必要となる場合もあるため、チーム内で今後の予定を確認し、記録漏れを防ぎます。

副師長監修・現場の視点

「あと何分で報告時間になるか」だけでなく、手術がどの工程にあり、解除までどれほどかかりそうかを予測することが大切です。器械出し看護師が術野の進行を把握し、外回り看護師が経過時間を管理することで、先を見越した声かけができます。

3-7. 一時解除後に再加圧する場合の注意点

長時間の手術では、一度ターニケットを解除し、一定時間の再灌流後に再加圧する場合があります。ただし、解除時間や再加圧の可否に統一された方法があるわけではありません。看護師は、解除時刻、再加圧時刻、それぞれの設定圧を区別して記録し、総加圧時間が分かるように管理します。

記録の例

「初回加圧○時○分、解除○時○分、初回加圧時間○分」「再加圧○時○分、設定圧○mmHg」のように、各回を分けて記録します。単に最終的な総時間だけを書くと、解除後の再灌流時間が分からなくなるため注意が必要です。

4. ターニケット解除時に起こる変化と看護

4-1. ターニケットを外すと体内で何が起こる?

ターニケットを解除すると、虚血状態だった患肢へ血流が再開します。同時に、患肢に蓄積していた二酸化炭素、乳酸、カリウムなどが全身循環へ流入し、酸塩基平衡や循環動態に一過性の変化が生じることがあります。変化の程度は、加圧時間、患肢の大きさ、患者の心肺機能などによって異なります。

ターニケット解除
患肢へ血流再開
代謝産物が流入
循環・代謝が変化
エビデンス

下肢ターニケット解除後には、血圧低下、二酸化炭素の増加、pH低下、乳酸やカリウムの上昇などが報告されています。通常は一過性ですが、高齢者や心肺機能に問題がある患者、長時間加圧された患者では、より慎重な観察が必要です。

出典:
Girardis M, et al. The hemodynamic and metabolic effects of tourniquet application during knee surgery. Anesth Analg. 2000;91(3):727-731.
Iwama H, et al. Circulatory, respiratory and metabolic changes after thigh tourniquet release. Anaesthesia. 2002;57(6):588-592.

4-2. ターニケットを外すと血圧はどうなる?

ターニケット解除後は、患肢の血管床へ血液が流れ込み、静脈還流や末梢血管抵抗が変化するため、血圧が低下することがあります。特に大腿部のターニケットを長時間使用した場合は、循環への影響が大きくなる可能性があります。解除前に麻酔科医へ知らせ、解除直後から血圧を注意深く観察します。

すぐに共有したい変化

急激な血圧低下、頻脈・徐脈、不整脈、SpO₂低下、呼気終末二酸化炭素の大きな変化などが認められた場合は、速やかに麻酔科医へ共有します。変化をターニケット解除だけで説明せず、出血や麻酔深度など、ほかの原因も含めて評価することが必要です。

出典:
Huh IY, et al. Relation between preoperative autonomic function and blood pressure change after tourniquet deflation during total knee replacement arthroplasty. Korean J Anesthesiol. 2012;62(2):154-160.

4-3. ETCO₂が上昇することがある理由

ターニケット解除後は、虚血肢に蓄積していた二酸化炭素が全身循環へ戻るため、呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO₂)が一過性に上昇することがあります。全身麻酔中は麻酔科医が換気状態と併せて評価します。看護師も解除時刻を正確に共有し、モニター変化と解除との時間的な関係を把握します。

観察のポイント

ETCO₂の変化だけを見るのではなく、SpO₂、血圧、心拍数、気道内圧、換気量なども併せて確認します。大きな変化や回復しない変化がある場合は、ターニケット解除以外の呼吸・循環上の問題も考慮する必要があります。

4-4. カリウム・乳酸・pHに生じる変化

加圧中の患肢では、酸素供給が減少し、嫌気性代謝によって乳酸や水素イオンなどが蓄積します。解除後にこれらが全身循環へ流入すると、乳酸やカリウムの上昇、pHの低下が一時的にみられることがあります。多くは時間とともに改善しますが、腎機能障害や心疾患のある患者では影響に注意します。

エビデンス

臨床研究では、ターニケット解除後に一過性のアシドーシスや乳酸上昇が認められています。こうした代謝変化は加圧時間や患者背景によって異なるため、必要に応じて血液ガスや電解質を確認し、麻酔科医の管理につなげます。

出典:
Girardis M, et al. The hemodynamic and metabolic effects of tourniquet application during knee surgery. Anesth Analg. 2000;91(3):727-731.

4-5. 解除前に看護師が準備すること

解除前は、術者が止血操作へ移れる状態か、麻酔科医が解除を把握しているかを確認します。器械出し看護師は止血鉗子、電気メス、吸引、ガーゼなどを準備し、外回り看護師は解除時刻の記録とバイタルサインの観察に備えます。解除の直前にチームへ声をかけ、全員が同じタイミングを認識することが大切です。

  • □ 術者から解除の指示を受けている
  • □ 麻酔科医へ解除予定を伝えている
  • □ 止血に必要な器械・物品を準備している
  • □ 解除前の血圧・心拍数などを把握している
  • □ 解除時刻を記録できる状態にしている
  • □ カフ装着部位を確認できるよう準備している
副師長監修・現場の視点

解除の指示が聞こえてから準備を始めるのではなく、縫合や止血の進行を見ながら解除時期を予測します。器械出し看護師から外回り看護師へ「そろそろ解除の可能性があります」と共有すると、麻酔科医への連絡や記録準備を余裕をもって行えます。

4-6. 解除直後に観察する項目

解除直後は、血圧、心拍数、心電図、SpO₂、ETCO₂などの全身状態と、術野からの出血を観察します。併せて、カフ装着部位の発赤、水疱、圧迫痕、腫脹などを確認します。可能な時点で、患肢の皮膚色、温度、毛細血管再充満、末梢動脈の触知なども評価します。

観察領域 主な観察項目 注意する変化
循環 血圧、心拍数、心電図 低血圧、頻脈、徐脈、不整脈
呼吸 SpO₂、ETCO₂、呼吸状態 酸素化低下、ETCO₂の急激な変化
術野 出血量、出血部位、止血状況 急激な出血増加、止血困難
カフ装着部 発赤、水疱、圧迫痕、腫脹 皮膚損傷、強い圧痕、腫脹
末梢循環 皮膚色、温度、毛細血管再充満、脈拍 蒼白、冷感、チアノーゼ、脈拍減弱

4-7. 解除後の出血量をどう評価する?

ターニケット解除後は、それまで抑えられていた術野への血流が再開するため、出血が増加します。看護師は吸引量だけでなく、洗浄液量、ガーゼへの付着量、ドレープや床への流出も踏まえて出血量を評価します。解除前後の血圧変化や手術進行も含め、短時間での出血増加を見逃さないことが重要です。

出血量評価のポイント

吸引ボトル内の総量から洗浄液を差し引き、ガーゼやその他の物品に付着した血液も加えて評価します。解除直後は短時間で出血量が変化するため、術者・麻酔科医とこまめに数値を共有しましょう。

4-8. 手術終了後も神経・皮膚・循環を確認する

ターニケットによる影響は、手術中だけでなく覚醒後に明らかになることがあります。術後はカフ装着部の疼痛、発赤、水疱、しびれ、知覚低下、運動障害、患肢の冷感や腫脹などを確認します。麻酔の影響で評価しにくい場合は、評価できた時刻と内容を記録し、病棟や回復室へ申し送ります。

術後に注意する症状

新たな強い疼痛、しびれ、運動障害、著しい腫脹、蒼白・冷感、末梢動脈の触知不良などがある場合は、ターニケットによる影響だけでなく、血管障害、神経障害、コンパートメント症候群なども考慮し、速やかに医師へ報告します。

参考資料:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN).
Guideline in Focus: Pneumatic Tourniquet Safety. 2025.

※次の章では、ターニケットによって起こり得る神経障害、皮膚障害、筋障害、ターニケットペイン、血栓・塞栓、コンパートメント症候群などの合併症と、予防のための看護を解説します。

5. ターニケットによって起こり得る合併症

ターニケットは手術を安全かつ円滑に進めるうえで有用ですが、カフによる物理的な圧迫と、血流遮断による虚血の両方が組織へ影響します。合併症として、神経障害、皮膚障害、筋障害、ターニケットペイン、循環変動などが挙げられます。発生頻度は高くなくても、重篤化する可能性を理解して観察することが重要です。

合併症を考える2つの視点

ターニケットによる影響は、主にカフ直下の圧迫による局所障害と、血流を遮断することによる虚血・再灌流の影響に分けて考えると整理しやすくなります。設定圧、加圧時間、装着方法、患者背景が複合してリスクを左右します。

5-1. 神経障害

神経障害は、ターニケットに関連する代表的な合併症です。高い圧による神経の直接圧迫や、カフ辺縁で生じる圧力勾配、血流遮断による神経虚血などが関与します。術後にしびれ、知覚低下、筋力低下、運動障害などがみられた場合は、麻酔や体位の影響も含めて評価し、速やかに医師へ報告します。

エビデンス

ターニケットによる神経障害では、虚血だけでなく機械的圧迫が重要な発生機序とされています。特に高い設定圧やカフ辺縁の急激な圧力変化は、神経線維を損傷する可能性があります。そのため、適切なカフ選択と必要最小限の設定圧が重要です。

出典:
Noordin S, et al. Surgical tourniquets in orthopaedics. Journal of Bone and Joint Surgery American Volume. 2009;91(12):2958-2967.
Masri BA, et al. Tourniquet-induced nerve compression injuries are caused by high pressure levels and gradients. BMC Biomedical Engineering. 2020;2:7.
術後に注意する所見

新たに生じたしびれ、知覚低下、手指・足趾の動かしにくさ、筋力低下、強い灼熱痛などは、神経障害を疑う所見です。末梢神経ブロックや全身麻酔の影響で評価が難しい場合は、「評価できない」として終わらせず、評価可能になった時点で再確認できるよう申し送ります。

5-2. 皮膚障害・圧迫損傷

カフ直下では強い圧迫が加わるため、発赤、表皮剝離、水疱、圧迫痕などの皮膚障害が生じる可能性があります。カフのしわ、不適切なサイズ、消毒液の流入、保護材の湿潤などはリスクを高めます。装着前と解除後の皮膚状態を比較できるよう、術前の傷や発赤も記録しておくことが大切です。

副師長監修・現場の視点

カフを外した直後の皮膚は、ドレープや体位固定具に隠れて十分に確認されないことがあります。手術終了時には、カフを外す担当者と皮膚を確認する担当者を明確にし、発赤や水疱の有無を記録へ残す運用が有効です。

  • □ 装着前の皮膚状態を確認している
  • □ カフや保護材にしわ・折れ・重なりがない
  • □ 消毒液がカフの下へ流れ込んでいない
  • □ 保護材が消毒液や体液で湿潤していない
  • □ 解除後に発赤、水疱、表皮剝離を確認している

5-3. 筋障害・組織障害

筋組織は血流遮断によって低酸素状態となり、加圧時間が長くなるほど代謝障害が進みます。カフ直下では、虚血に加えて圧迫による筋線維への影響も加わります。術後の疼痛、腫脹、筋力低下が強い場合は、通常の術後反応と決めつけず、神経障害や血流障害などと併せて評価する必要があります。

エビデンス

人工膝関節置換術を対象とした研究では、より低いターニケット圧を用いた群で、術後疼痛や筋障害、創部合併症が少なかったと報告されています。個々の患者で必要な駆血を得られる範囲内に圧を抑えることが、組織への負担軽減につながる可能性があります。

出典:
Pinsornsak P, et al. Effect of Different Tourniquet Pressure on Postoperative Pain and Complications after Total Knee Arthroplasty. Journal of Arthroplasty. 2021;36(5):1638-1644.

5-4. ターニケットペイン

ターニケットペインとは、カフの圧迫や虚血に関連して生じる強い痛みです。区域麻酔中でも、加圧時間の経過とともにカフ装着部を中心とした鈍い痛みや締め付け感が出現することがあります。患者の訴えだけでなく、血圧上昇、頻脈、発汗、体動なども疼痛を示す反応として観察します。

観察のポイント

脊髄くも膜下麻酔や末梢神経ブロックが効いていても、ターニケットペインが完全に防げるとは限りません。患者が覚醒している場合は、痛みの部位、性質、強さ、出現時刻を確認し、加圧開始からの経過時間と併せて麻酔科医へ伝えます。

エビデンス

ターニケットペインの発生は、加圧時間が長くなるほど増える傾向が報告されています。痛みには細い無髄C線維などの関与が考えられ、通常の手術部位の痛みとは異なる機序で生じる可能性があります。

出典:
Kamath K, et al. Incidence and factors influencing tourniquet pain. Chinese Journal of Traumatology. 2021;24(5):291-294.

5-5. ターニケット誘発性高血圧

全身麻酔中にターニケットを長時間加圧すると、麻酔深度が保たれていても血圧が徐々に上昇することがあります。これをターニケット誘発性高血圧と呼びます。疼痛刺激や交感神経活動の亢進などが関与すると考えられています。血圧上昇がみられた場合は、加圧時間と併せて麻酔科医へ共有します。

決めつけない

術中の血圧上昇には、麻酔深度不足、気道刺激、出血、薬剤、膀胱充満など複数の原因があります。ターニケット使用中だからといって、すべてをターニケットペインや誘発性高血圧として扱わず、手術・麻酔・患者状態を総合して評価します。

参考文献:
Kam PCA, Kavanagh R, Yoong FF. The arterial tourniquet: pathophysiological consequences and anaesthetic implications. Anaesthesia. 2001;56(6):534-545.

5-6. 血栓症・肺塞栓症

ターニケット使用中は静脈血流が停滞し、解除時には患肢から血液が全身へ戻ります。深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症との関連は、術式、患者背景、予防策など多くの要因に影響されるため、ターニケット単独の影響として単純化はできません。ただし、血栓リスクの高い患者では慎重な管理が必要です。

リスク評価

血栓症の既往、高齢、悪性腫瘍、肥満、長期臥床などがある患者では、術前から静脈血栓塞栓症のリスクをチームで共有します。予防方法は、手術内容や出血リスクを踏まえ、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、薬物療法などを施設基準に沿って選択します。

ガイドラインの視点

AORNでは、静脈血栓塞栓症のリスクが高い患者、末梢血管疾患のある患者、高齢者、肥満患者などについて、ターニケット使用時に特に慎重な評価を行うことが示されています。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN). Key Takeaways: Pneumatic Tourniquet Safety.

5-7. 血管損傷・末梢循環障害

動脈硬化や末梢血管疾患がある患者では、カフの圧迫や血流遮断による影響が大きくなる可能性があります。解除後も患肢の蒼白、冷感、チアノーゼ、毛細血管再充満の遅延、末梢動脈の触知低下などが続く場合は、血流障害を疑います。術前の循環状態と比較し、変化を速やかに報告します。

術前との比較が重要

末梢動脈が術後に触れにくい場合、もともと触知しにくかったのか、術後に変化したのかで意味が異なります。術前から皮膚色、冷感、脈拍、しびれなどを確認し、基準となる状態を把握しておきましょう。

5-8. コンパートメント症候群

コンパートメント症候群は、筋区画内の圧が上昇し、筋肉や神経への血流が障害される緊急性の高い病態です。ターニケット使用後の腫脹や再灌流が発症に関係することがあります。鎮痛薬で改善しない強い痛み、他動伸展時痛、緊満した腫脹、知覚異常などがあれば、直ちに医師へ報告します。

脈が触れても否定できない

コンパートメント症候群では、末梢動脈が触知できる場合があります。蒼白、麻痺、脈拍消失などは遅れて出現することがあるため、脈拍の有無だけで判断してはいけません。特に、予想を超える強い疼痛や他動運動時痛を重視します。

参考資料:
Torlincasi AM, et al. Acute Compartment Syndrome. StatPearls Publishing.
Lam D, et al. Pain Control with Regional Anesthesia in Patients at Risk of Acute Compartment Syndrome. Journal of Pain Research. 2023;16:1195-1212.

5-9. 再灌流障害と全身への影響

ターニケット解除後は、虚血組織へ酸素を含む血液が再び流れます。この再灌流に伴い、酸化ストレスや炎症反応、浮腫が生じることがあります。また、二酸化炭素、乳酸、カリウムなどが全身循環へ戻り、血圧、心拍数、酸塩基平衡に変化が生じるため、解除直後は集中して観察します。

観察につなげる

再灌流による変化は、多くの場合一過性ですが、長時間の加圧、高齢者、心疾患、腎機能障害などでは影響が大きくなる可能性があります。解除前の予告と、解除後の循環・呼吸・心電図の観察が重要です。

参考文献:
Kumar K, et al. Tourniquet application during anesthesia: What we need to know? Journal of Anaesthesiology Clinical Pharmacology. 2016;32(4):424-430.

6. ターニケット使用時の注意点と安全管理

6-1. 使用前に禁忌・高リスク患者を確認する

ターニケットを使用できるかどうかは、術式だけでなく患者背景を踏まえて判断します。末梢血管疾患、血行再建術の既往、血栓症リスク、カフ装着部位の感染・創傷、重度の末梢神経障害などがある場合は、使用による利益と危険性を慎重に検討します。看護師は情報を収集し、チームへ共有します。

禁忌は一律ではない

文献で「禁忌」とされる状態でも、患者の状況や手術内容によって判断が異なることがあります。看護師が単独で使用可否を判断するのではなく、術者、麻酔科医、必要に応じて血管外科医などを含めて検討します。

確認する背景 具体的な例 看護上の対応
血管 末梢血管疾患、動脈バイパス術後 術前循環を確認し、医師へ共有する
血栓 深部静脈血栓症の既往、血栓高リスク 予防策と使用可否をチームで確認する
皮膚 感染、創傷、水疱、脆弱な皮膚 カフ位置の変更や代替方法を検討する
神経 既存の麻痺、末梢神経障害 術前症状を記録し、術後と比較する
全身状態 高齢、肥満、貧血、心腎機能障害 圧・時間・解除後の観察を強化する
出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN). Key Takeaways: Pneumatic Tourniquet Safety.

6-2. 患者に合ったカフを選択する

カフは上肢用・下肢用という区分だけでなく、患者の四肢周径や形状に適合する製品を選びます。円錐状の大腿部では、輪郭に合ったカフが適する場合があります。不適切な幅や長さのカフは、高い圧が必要となる、ずれが生じる、局所へ圧が集中するなどの原因になります。

準備時に確認

手術室入室後にカフが合わないと判明すると、麻酔導入後の準備遅延や体位調整のやり直しにつながります。肥満患者、小児、四肢周径が大きい患者などでは、術前情報から必要なサイズを予測し、複数の候補を準備しておきます。

6-3. カフは骨突出部や神経の表在部を避けて装着する

カフは、可能な範囲で筋肉量があり、均一に圧を伝えられる部位へ装着します。骨突出部や神経が浅く走行する部位に強い圧が集中すると、皮膚障害や神経障害の原因になります。術式と手術野を妨げない範囲で位置を決め、カフ辺縁が骨突出部へかかっていないか確認します。

現場でのポイント

カフ装着直後だけでなく、体位固定後にも位置を確認します。側臥位や腹臥位、上肢を固定した体位では、体位変換によってカフがずれたり、チューブが身体や固定具の下へ入り込んだりすることがあります。

6-4. 保護材のしわと湿潤を防ぐ

カフの下に使用する保護材は、施設手順と製品の使用方法に従って選択します。厚く巻きすぎたり、しわが生じたりすると、圧が不均一になります。また、消毒液や洗浄液が保護材へ染み込むと、湿潤と圧迫が重なり、皮膚損傷を起こす可能性があります。

  • □ 保護材が均一な厚さで巻かれている
  • □ しわや折れ返しが生じていない
  • □ カフの下へ消毒液が流入していない
  • □ 消毒後に保護材の湿潤がない
  • □ 被覆材が術野を汚染しないよう固定されている

6-5. 設定圧をダブルチェックする

加圧前には、患側、装着部位、設定圧を指示内容と照合します。機器に前回使用時の設定値が残っている場合もあるため、電源投入時の表示をそのまま使用してはいけません。LOP測定機能を使用する場合は、測定条件が整っているか確認し、算出された設定圧をチームで共有します。

よくあるリスク

左右の選択間違い、上肢と下肢の設定の取り違え、前回値の残存、接続するカフチャンネルの間違いなどが起こり得ます。装着したカフ、機器のチャンネル、画面上の表示を指差し確認する運用が有効です。

6-6. 加圧開始時刻を確実に記録する

ターニケットの時間管理は、加圧開始時刻を正確に把握することから始まります。術者が駆血を指示した時刻ではなく、実際に設定圧へ到達し、血流遮断が開始された時刻を施設手順に沿って記録します。再加圧した場合は初回と分けて記録し、それぞれの加圧時間を追跡します。

見える化する

電子記録への入力だけでなく、手術室内のホワイトボードやタイマーなどへ開始時刻を表示すると、器械出し看護師や術者も経過時間を把握しやすくなります。誰か一人の記憶に依存しない管理方法を整えましょう。

6-7. 経過時間を段階的に共有する

経過時間の報告は、施設で定めた時刻に機械的に伝えるだけでなく、手術の進行を踏まえて行います。解除予定の直前に初めて長時間使用を伝えるのではなく、一定時間ごとに加圧時間を共有し、延長が予測される場合は早めに術者・麻酔科医へ知らせます。

声かけの例

「ターニケット加圧開始から60分です。現在の設定圧は○mmHgです」「90分経過しました。解除までの見込みを確認させてください」のように、経過時間、設定圧、今後の予定をセットで共有します。

6-8. 加圧中の機器アラームを放置しない

ターニケット装置のアラームは、圧低下、過剰圧、接続不良、チューブの屈曲、カフからの漏れなどを知らせます。アラームを一時停止するだけでは、安全な駆血が維持されているとは限りません。表示内容と機器の状態を確認し、必要に応じて術者へ術野の状況も確認します。

自己判断で操作しない

アラームが鳴った際に、原因確認をせず設定圧を上げる、カフを解除する、接続を外すなどの操作を行うと、出血や組織障害につながる可能性があります。緊急性を判断し、術者・麻酔科医と共有したうえで対応します。

6-9. 解除前に術者・麻酔科医へ予告する

解除時には術野の出血が増加し、患者の血圧やETCO₂などが変化する可能性があります。そのため、解除は術者の指示だけで直ちに行うのではなく、麻酔科医が解除を認識していること、止血に必要な物品が準備されていることを確認し、チーム全員へ予告してから実施します。

解除時の復唱例

「右大腿部のターニケットを解除します。加圧時間は○分です」と復唱します。解除後は、機器表示がゼロになったこと、カフが十分に減圧されたこと、解除時刻が記録されたことまで確認します。

6-10. 解除後はカフを速やかに外して皮膚を確認する

手術終了まで減圧したカフを装着したままにすると、しわや固定状態によって局所圧迫が続く場合があります。術野やドレープの状況を確認し、安全に外せる時点でカフと保護材を除去します。装着部位の発赤、水疱、圧痕、皮膚剝離などを観察し、異常の有無を記録します。

記録に残したい項目

カフの装着部位、使用したカフ、設定圧、加圧・解除時刻、合計時間、皮膚状態、解除後の末梢循環を記録します。異常がある場合は、部位、大きさ、色、症状、医師への報告内容と対応まで具体的に残します。

6-11. 術後の申し送りまでをターニケット管理と考える

ターニケット管理は、手術室でカフを外した時点では終了しません。術後に神経症状や循環障害が明らかになることもあるため、回復室や病棟へ、装着部位、設定圧、加圧時間、再加圧の有無、皮膚所見などを申し送ります。麻酔の影響で未評価の項目があれば、その点も明確に伝えます。

申し送りの例

「右大腿部にターニケットを使用し、設定圧○mmHg、加圧時間○分でした。カフ部に軽度発赤があります。末梢動脈は触知可能ですが、神経症状は脊髄くも膜下麻酔中のため未評価です」のように、次の観察につながる情報を伝えます。

6-12. 施設内で手順を標準化する

安全管理を個人の経験に依存させないため、カフ選択、皮膚保護、設定圧の確認、時間報告、解除時の連携、術後観察について、施設内で手順を統一します。機器更新時や新製品導入時には、使用方法とアラーム対応を共有し、定期的な教育・シミュレーションを行うことが重要です。

ガイドラインの視点

AORNのガイドラインは、安全なターニケット使用のために、術前評価や機器管理だけでなく、周術期チームの教育とコンピテンシー評価も重視しています。手順書を作成するだけでなく、スタッフが正しく実践できるかを継続して確認する必要があります。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN). Guideline in Focus: Pneumatic Tourniquet Safety. 2025.
医療安全上の注意

本章で示した内容は一般的な安全管理の考え方です。具体的な禁忌、カフの装着方法、設定圧、経過時間の報告基準、再加圧方法は、製品や施設によって異なります。実際の臨床では、最新の添付文書、施設の手順書、医師の指示を優先してください。


※次の章では、新人看護師が迷いやすいポイントを時系列で整理した「術前・加圧中・解除後の看護チェックリスト」、よくある質問、記事のまとめ、参考文献一覧を掲載します。

7. ターニケット手術の看護チェックリスト

ターニケット管理では、装着、加圧、術中管理、解除、術後評価を別々の業務として捉えず、一連の流れとして確認することが重要です。特に、患側、カフの状態、設定圧、加圧時間、解除後の観察は、複数のスタッフが関わるため情報が途切れやすい項目です。以下のチェックリストを施設の手順に合わせて活用してください。

使用上の注意

このチェックリストは、一般的な確認項目を整理したものです。実際の適応、設定圧、時間管理、解除方法は、使用機器の添付文書、院内マニュアル、医師の指示を優先してください。施設内の正式なチェックリストを置き換えるものではありません。

7-1. 手術前のチェックリスト

手術前は、患者の基礎疾患と患肢の状態を確認し、ターニケットによる圧迫や虚血の影響を受けやすい条件がないか評価します。さらに、予定術式、患側、装着部位、カフのサイズ、使用する機器を確認します。術前の皮膚・神経・末梢循環の状態は、術後に変化を判断するための基準となります。

  • □ 患者氏名、術式、手術部位、左右を確認した
  • □ ターニケットを使用する予定と目的を確認した
  • □ 末梢血管疾患や血行再建術の既往を確認した
  • □ 血栓症、糖尿病、末梢神経障害などの既往を確認した
  • □ 患肢の皮膚色、冷感、しびれ、運動機能を確認した
  • □ カフ装着予定部位の傷、感染、発赤、水疱を確認した
  • □ 患者の四肢周径に合うカフを準備した
  • □ 本体、接続チューブ、カフの破損がないことを確認した
  • □ 設定圧の決定方法と時間報告の基準を確認した
ガイドラインの視点

AORNでは、ターニケット使用前に患者の既往、皮膚状態、神経・血管の状態、貧血、血栓塞栓症リスク、年齢、BMIなどを評価し、患者に適したカフと管理方法を選択することを重視しています。

出典:
Association of periOperative Registered Nurses(AORN). Guideline in Focus: Pneumatic Tourniquet Safety. 2025.

7-2. カフ装着時のチェックリスト

カフ装着時は、皮膚へ圧が均等に伝わるよう、サイズ、位置、巻き方を確認します。保護材やカフにしわがあると、局所へ圧が集中する可能性があります。また、消毒液の流入や湿潤は皮膚障害の原因となります。体位変換後には、カフのずれやチューブの圧迫がないか再確認します。

  • □ 患側とカフ装着部位が指示と一致している
  • □ 四肢の形状と周径に適したカフを使用している
  • □ カフと皮膚保護材にしわや折れがない
  • □ 骨突出部や神経が表在する部位へ圧が集中していない
  • □ カフが緩すぎず、均一に密着している
  • □ 消毒液がカフの下へ流入しないよう保護した
  • □ 点滴ルートや医療機器をカフで圧迫していない
  • □ 接続チューブに屈曲、牽引、圧迫がない
  • □ 体位固定後にカフの位置を再確認した
副師長監修・現場の視点

カフの装着を一人に任せきりにせず、体位固定後に外回り看護師が全周を確認することが重要です。特に大腿部の内側や患者の身体と接する側は見落とされやすいため、しわ、皮膚の巻き込み、チューブの圧迫を意識して確認します。

7-3. 加圧直前・加圧時のチェックリスト

加圧直前は、術者の指示、設定圧、患側、接続先を照合します。設定圧を機器に入力したスタッフとは別のスタッフが確認できると、取り違え防止につながります。加圧した時刻は、その後の安全管理の基準となるため、機器の圧が設定値へ到達したことを確認して記録します。

  • □ 術者から加圧の指示を受けた
  • □ 患側、装着部位、機器のチャンネルを照合した
  • □ 設定圧が指示または院内手順と一致している
  • □ LOPを使用する場合は測定が適切に完了している
  • □ 加圧することを術者・麻酔科医へ声に出して伝えた
  • □ 設定圧へ到達したことを機器表示で確認した
  • □ 術野の駆血状態を術者と確認した
  • □ 加圧開始時刻を手術記録へ入力した
  • □ 室内で経過時間を把握できるよう表示した
声かけの例

「右大腿部のターニケットを加圧します。設定圧は○mmHgです」「○時○分、設定圧へ到達しました」のように、部位、圧、時刻を短く明確に伝えます。復唱方法は、施設のダブルチェック手順に合わせて統一しましょう。

7-4. 加圧中のチェックリスト

加圧中は、時間だけでなく、設定圧、機器、患者、術野を継続的に観察します。アラームが発生した場合は、その場で音を止めるだけでなく原因を確認します。また、手術進行から長時間使用が予測される場合は、施設で定めた報告時間より前でもチームへ共有し、解除の見通しを確認します。

  • □ 加圧開始からの経過時間を把握している
  • □ 設定圧が意図せず変化していない
  • □ 機器にアラームや異常表示がない
  • □ 接続チューブに屈曲や外れがない
  • □ 術野の出血状態と駆血効果を確認している
  • □ 血圧、心拍数、心電図などを観察している
  • □ 覚醒患者では痛み、しびれ、圧迫感を確認している
  • □ 経過時間を術者・麻酔科医へ段階的に共有している
  • □ 解除時期と手術の残り工程を予測している

7-5. 解除前のチェックリスト

解除前は、術者が止血へ移れる状態か、麻酔科医が循環変動に備えているかを確認します。器械出し看護師は止血に必要な器械やガーゼを準備し、外回り看護師はバイタルサインと解除時刻を確認できる状態にします。解除は必ずチームへ予告し、全員が認識してから行います。

  • □ 術者から解除の指示を受けた
  • □ 麻酔科医へ解除予定を伝えた
  • □ 術者が止血操作へ移れる状態である
  • □ 止血器械、電気メス、吸引、ガーゼを準備した
  • □ 解除前の血圧、心拍数、ETCO₂を確認した
  • □ 解除前までの加圧時間を計算した
  • □ チームへ患側と加圧時間を含めて予告した
  • □ 解除時刻を直ちに記録できる状態にした
解除はチームで行う

術者の「落として」という発言だけを聞いて即座に解除すると、麻酔科医やほかのスタッフが認識していない可能性があります。患側、解除操作、加圧時間を復唱し、麻酔科医の準備と術野の止血準備を確認したうえで解除します。

7-6. 解除後のチェックリスト

解除後は、循環動態、呼吸、術野の出血、患肢の状態を並行して観察します。血圧低下やETCO₂上昇などは一過性の場合がありますが、変化が大きい、持続する、ほかの異常を伴う場合は速やかに共有します。カフを外した後は、皮膚と末梢循環を術前所見と比較します。

  • □ 機器表示が減圧状態になったことを確認した
  • □ 解除時刻と合計加圧時間を記録した
  • □ 血圧、心拍数、心電図を観察した
  • □ SpO₂、ETCO₂、換気状態を観察した
  • □ 術野の出血増加と止血状況を確認した
  • □ 吸引量と洗浄液量から出血量を評価した
  • □ カフ部の発赤、水疱、圧痕、表皮剝離を確認した
  • □ 患肢の皮膚色、温度、脈拍、毛細血管再充満を確認した
  • □ 再加圧した場合は各回の時間を分けて記録した

7-7. 手術終了時・申し送りのチェックリスト

手術終了時は、ターニケットに関する情報が回復室や病棟へ引き継がれるよう整理します。特に、設定圧、加圧時間、再加圧の有無、皮膚所見、末梢循環、神経症状の評価状況が重要です。麻酔のため知覚や運動機能を評価できない場合は、未評価である理由と再評価の必要性を伝えます。

  • □ 使用部位、カフ、設定圧を記録した
  • □ 加圧・解除時刻と合計加圧時間を記録した
  • □ 一時解除・再加圧の時刻を記録した
  • □ 解除後の皮膚所見を記録した
  • □ 末梢循環と神経症状を評価した
  • □ 未評価の項目とその理由を明記した
  • □ 異常所見と医師への報告内容を記録した
  • □ 回復室または病棟へ必要事項を申し送った
申し送りの例

「左大腿部にターニケットを使用し、設定圧○mmHg、合計加圧時間○分です。カフ部に皮膚損傷はなく、足背動脈は触知できます。脊髄くも膜下麻酔の影響が残っているため、知覚と運動機能は回復後に再評価してください」と具体的に伝えます。

8. ターニケット手術の看護でよくある質問

8-1. ターニケットとタニケットは違うものですか?

ターニケットとタニケットは、医療現場では基本的に同じものを指します。英語の「tourniquet」をカタカナで表す際に、「ターニケット」と「タニケット」という表記や発音の違いが生じています。学術文献や製品情報では「ターニケット」が多く用いられるため、本記事でもターニケットに統一しています。

8-2. ターニケットを使用する目的は何ですか?

主な目的は、上肢や下肢への血流を一時的に遮断し、出血の少ない術野を確保することです。血液が少ない状態では、神経、血管、腱、靱帯などを識別しやすくなり、細かな手術操作を支援できます。ただし、疼痛や組織障害などのリスクもあるため、使用の利益と危険性を踏まえて判断します。

8-3. ターニケットの圧は何mmHgに設定しますか?

すべての患者に共通する設定圧はありません。患者の血圧、四肢周径、カフの幅・形状、装着部位などによって必要な圧は変わります。近年は、末梢動脈の血流を遮断できる最低圧であるLOPに安全域を加え、患者ごとに設定する方法が推奨されています。実際には院内手順と医師の指示に従います。

エビデンス

LOPに基づく個別設定は、従来の固定圧と比較して、術野の質を維持しながら使用圧を下げられる可能性があります。上肢手術を対象とした2025年の系統的レビューでも、低い個別化圧の有効性が検討されています。

出典:
Chan K, et al. A Systematic Review and Meta-Analysis of Tourniquet Pressures in Upper Limb Surgery. 2025.
Tuncali B, et al. Tourniquet pressure settings based on limb occlusion pressure determination or arterial occlusion pressure estimation. Acta Orthop Traumatol Turc. 2018;52(4):256-260.

8-4. ターニケットの駆血時間は何分までですか?

全患者に共通する絶対的な安全時間は確立されていません。臨床では一定時間ごとに報告する運用が行われますが、「その時間以内なら安全」とは限りません。患者背景、設定圧、装着部位、術式などを考慮し、加圧時間を可能な限り短くします。報告基準や解除の判断は施設手順と医師の指示に従います。

90分・120分の捉え方

90分や120分は、施設内で報告や再評価の目安として使われることがありますが、合併症が起こらないことを保証する境界ではありません。研究でも安全時間に一律の合意はなく、圧、時間、患者背景を総合して評価する必要があります。

8-5. ターニケットを外すと血圧はどうなりますか?

解除後は、患肢へ血流が再開し、末梢血管抵抗や静脈還流が変化することで血圧が低下する場合があります。虚血肢に蓄積した代謝産物が全身循環へ流入し、ETCO₂、pH、乳酸、カリウムなどが一時的に変化することもあります。解除前に麻酔科医へ予告し、解除直後は循環・呼吸を観察します。

8-6. ターニケット解除後にETCO₂が上がるのはなぜですか?

加圧中の患肢では血流が遮断され、組織で産生された二酸化炭素が局所に蓄積します。解除すると、その二酸化炭素を含む血液が全身循環へ戻るため、ETCO₂が一過性に上昇する場合があります。ただし、変化が大きい場合や持続する場合は、換気異常や循環障害など別の原因も含めて評価します。

8-7. ターニケット使用中に血圧が上がるのはなぜですか?

長時間の加圧では、カフの圧迫や虚血に伴う疼痛刺激によって交感神経活動が高まり、血圧や心拍数が上昇する場合があります。これをターニケット誘発性高血圧と呼ぶことがあります。ただし、術中高血圧には麻酔深度、薬剤、気道刺激など複数の原因があるため、加圧時間と患者状態を併せて評価します。

8-8. ターニケットペインとは何ですか?

ターニケットペインは、カフの圧迫や患肢の虚血によって生じる、締め付けられるような強い痛みです。区域麻酔が効いていても、加圧時間の経過とともに出現することがあります。覚醒患者の訴えだけでなく、血圧上昇、頻脈、発汗、体動などにも注意し、出現時刻と加圧時間を麻酔科医へ伝えます。

8-9. ターニケットの主な合併症は何ですか?

主な合併症には、神経障害、皮膚障害、筋障害、ターニケットペイン、循環変動、再灌流による代謝変化などがあります。また、患者背景や術式によっては、血栓塞栓症や血流障害への注意も必要です。高い圧、不適切なカフ、長時間の加圧などを避け、術後まで継続して観察します。

8-10. ターニケットの禁忌は何ですか?

末梢血管疾患、動脈バイパス術後、カフ装着部位の感染や創傷などでは、使用に伴う危険性が高くなる可能性があります。ただし、禁忌や慎重使用の判断は患者状態と手術内容によって異なります。看護師が単独で判断せず、術者・麻酔科医と情報を共有し、代替方法も含めて検討します。

8-11. ターニケット使用中に看護師が観察することは何ですか?

加圧開始時刻、経過時間、設定圧、機器のアラーム、接続チューブ、術野の出血状態を確認します。患者については、血圧、心拍数、心電図、体温、疼痛反応などを観察します。解除後は、循環・呼吸の変化、出血量、カフ部の皮膚、患肢の末梢循環と神経症状を確認します。

8-12. 器械出し看護師は何を確認しますか?

器械出し看護師は、術野の状態と手術進行を把握し、加圧・解除に関する術者の指示を外回り看護師へ確実に伝えます。解除が近づいたら、止血鉗子、電気メス、吸引、ガーゼなどを準備します。外回り看護師と経過時間を共有し、解除後の出血増加へ対応できる環境を整えます。

8-13. 外回り看護師は何を記録しますか?

使用部位、カフの種類、設定圧、加圧開始時刻、解除時刻、合計加圧時間を記録します。一時解除や再加圧があった場合は、各回を分けて残します。さらに、解除後の皮膚状態、末梢循環、神経症状、異常時の報告と対応も記録し、回復室や病棟へ必要事項を申し送ります。

9. ターニケット手術の看護で大切なこと

ターニケット手術の看護では、圧や時間の数値だけでなく、患者背景、カフの選択、装着状態、機器、手術進行を総合して管理することが重要です。術前の状態を把握し、加圧中は時間と患者を継続して観察します。解除前にはチームでタイミングを共有し、解除後は全身状態と患肢を確認します。

この記事の要点
  • ターニケットは出血を抑え、良好な術野を確保するために使用する
  • 設定圧は固定値ではなく、患者ごとに必要最小限とする
  • 加圧時間に全患者共通の絶対的な安全上限はない
  • カフのサイズ、位置、しわ、湿潤を確認する
  • 加圧開始時刻と経過時間をチーム全体で共有する
  • 解除前は術者・麻酔科医・看護師でタイミングを合わせる
  • 解除後は血圧、ETCO₂、出血、皮膚、末梢循環を観察する
  • 術後の神経症状や皮膚所見まで継続して評価する
監修者コメント

ターニケット管理は、機器を操作するだけの業務ではありません。患者の術前評価から、カフの装着、時間管理、解除時の連携、術後観察までを通して安全性を守る看護です。施設内で役割と確認方法を標準化し、誰が担当しても同じ水準で管理できる体制を整えることが重要です。

免責事項

本記事は、手術室看護に関する一般的な学習情報を提供するものであり、個別患者への診断、治療、医療行為の指示を目的とするものではありません。臨床で使用する際は、最新の添付文書、所属施設の手順書、担当医師の指示を必ず確認してください。

10. 参考文献・出典

本記事では、周術期看護の専門ガイドライン、査読論文、医学文献データベースに掲載された研究を参照しています。本文中では、専門的な数値や病態、推奨事項に関連する箇所へ出典を明記しました。ガイドラインや研究内容は更新されるため、実際の臨床判断では、各施設で利用できる最新版も確認してください。

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監修者:伊勢崎 和也
所属:聖マリアンナ医科大学病院 手術・IVRセンター副師長
執筆日:2026年8月3日
最終更新日:2026年8月3日
監修日:2026年8月3日

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