この記事では、看護過程の理解が深まるおすすめ参考書を紹介します。
看護過程って難しいですよね。
解説の言葉が難しかったり、抽象的だったり。
そんな看護過程に壁を感じるすべての看護学生に、わかりやすくてポイントが絞られている参考書を紹介します!
1.看護過程の参考書を選ぶときのポイント
参考書選びのポイントは以下です。
看護過程の参考書選びのポイント |
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看護過程を展開するとき、どの問題に対してどんな情報が必要なのか整理しておく必要があります。
そうしないと、情報は沢山あるのにアセスメントに使える的確な情報が見当たらないなんてことになりかねません。
これから紹介する参考書は、上記の問題はもちろん、看護過程に関する疑問を解決に導いてくれるはずです。
看護過程は、病態生理同様、看護師をしている間はずっとついて回るものなので、自分にあった参考書を見つけ、確実に理解できるようにしておきましょう。
看護過程とは、患者さんが抱える問題を解決するための、情報収集、アセスメント、診断、計画、実施、評価で構成されるプロセスのこと。これを記録したものが看護記録です。
2.【過程別】看護過程のおすすめ参考書
この章では、看護過程を展開するときの場面別で参考になる書籍を紹介します。
はじめに、看護過程の書き方について詳しく書いてあるおすすめ参考書から見ていきましょう。
2-1.看護過程のおすすめ参考書|書き方編
ここでは、看護過程の書き方、展開の仕方について詳しく書かれた参考書を2つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実習記録につまづいたとき読む本|記録に悩む前に読んで欲しい1冊
「実習記録に書くべきことを書くためにするべきこと」にフォーカスを当てた参考書です。
実習記録を書くことや看護過程について知識の整理から、毎日の行動目標の立て方まで、こまかなステップに分けて解説されています。
この本をおすすめする理由は、書く時の流れに沿って解説されている参考書だからです。
というのも、記録を書く前の「頭で考えるところ」から「文章の組み立て方」、「実際に書く」まで順序立てて説明しています。
ステップ分けと丁寧な解説で整理されているので非常に分かりやすい1冊。
関連図を書けるようになるコツも載っており、看護過程の展開から看護記録まで網羅されています。
最終章には看護過程にまつわるQ &Aも載っており、実習で役立つこと間違いなし!
大切なエッセンスだけを抽出してあるので、ページ数のわりに読み応えがあります。
とても薄いので実習先や学校に持参し、いつでも確認することができる点も高ポイント。
はじめて学ぶ看護過程|看護過程的思考と記録を文字に起こす方法がわかる1冊
看護過程とは簡単に言ってしまえば、看護師が頭の中で考えている問題解決までの道のりです。
その看護師の頭の中がどうなっているのか客観的に分析、解説しているのがこの参考書です。
読んでいくうちに、「私はこういうことを考えていたんだ!」と気付かせてくれます。
また、看護過程を展開するために必要な考え方と記録の書き方について、その目的と方法を丁寧に説明しています。
「どう考えて書いたらいいのか分からない」という方にぴったりの良書です。
読み進めるうちに、苦手に感じていた看護過程がとても身近に感じられるようになります。
看護過程をこれから学ぶ方や、実習を控えている方におすすめです。
イラストや図は多くないですが、細かいステップに分けられた構成で理解が深まりやすい1冊です。
2-2.看護過程のおすすめ参考書|アセスメント編
ここでは、アセスメントの仕方について詳しく書かれた参考書を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
看護の現場ですぐ役立つ 症状別看護過程|アセスメントからその先へ繋がる1冊
こちらはアセスメントに重点をおいた看護過程の参考書です。
冒頭に看護過程とは何か丁寧に解説されています。まずはこのページをしっかり読み、理解することをおすすめします。
アセスメントに必要な情報収集や情報の整理方法について症状別に解説されています。
さらに、どの情報がどういうアセスメントに生きて、どんなケアに繋がっていくのかが根拠とともに分かりやすく説明されています。
またアセスメントの方法だけでなく、書き方についても述べられています。悪い書き方の例とその理由、改善方法まで示されていて、とても勉強になりますよ!
参考書自体がコンパクトで学校や実習先に持っていきやすい点もおすすめ。
全体的にポイントが絞られており、言葉も易しいので理解が深まりやすい構成になっています。
病態生理についても目で見て分かりやすいイラストがメインで収録されているので、この1冊でアセスメントは完結できますよ。
アセスメントが苦手な方に、是非手に取ってほしい参考書です。
アセスメントが書ける看護記録|アセスメントができていないのではなく、書けていないだけだったと気付く1冊
そもそも、「アセスメントが書けていない」とはどういうことなのか。
それは「書けていない」だけで、「アセスメントができていないわけではない」と教えてくれる1冊です。
アセスメントに悩んでいる方にとって、読み終わる頃には少し気持ちが楽になる、そんな内容になっています。
内容は、良くない看護記録の例をもとに展開されます。
例えば、アセスメントで使用した「呼吸困難感」という自覚的な指標を、客観的に捉える方法について説明されています。
またアセスメントを深めるために必要な知識の確認など、「アセスメント」に特化して詳しく説明されている参考書です。
収録されている事例は少なく、かなり薄い本です。
しかし看護過程の展開に必要な「誰が見ても理解できる客観的なアセスメント」のためのヒントがぎゅっと詰まった一冊です。
2-3.看護過程のおすすめ参考書|関連図編
ここでは、関連図の書き方や関連図に使える情報が載った参考書を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事例でまなぶ 疾患別看護過程|アセスメント強いから関連ずに強くなる!
2冊に分けて全科の看護過程の展開を解説しています。
事例をもとに看護過程が展開されていくのですが、アセスメントがかなり具体的に書かれています。
実習で出会うであろう疾患を扱っているので、理解が深まりやすい1冊。
ゴードンの11の機能的健康パターンを使用しており、情報収集のポイントも一緒に記載されている点がこの本の特徴です。
どうしてアセスメントに強い参考書をここで紹介したかというと、アセスメントで考えたことを関連図に書くからです。
この本は、アセスメントをどのように関連図に反映させていくのか、収録されている全疾患において解説されています。
見開き2ページに渡って関連図が展開されているので、アセスメントと関連図の繋がりが分かりやすくなっています。
看護がみえる vol.4 看護過程の展開|全看護学生に手にとって欲しい1冊
この書籍は、疾患別または症状別看護過程の参考書ではありません。
ですが、全ての看護学生におすすめしたい1冊です。
なぜなら、看護過程を展開するための考え方や、必要な全体関連図の書き方などを詳しく掘り下げて解説してくれているからです。
上で述べたように、一般的な関連図にあるような疾患別看護については記載がありません。
ゴードンの11の機能的健康パターンの項目ごとの患者さんの状態と、それぞれの項目の情報同士がどのように関連していくのかが解説されています。
それが理解できると、問題同士の関連性が分かるようになっています。
看護過程の展開だけでなく、関連図の基礎を学ぶことができるので、どんな疾患にも対応できるようになりますよ。
従ってこの書籍は、ゴードンで看護過程を展開している方だけでなく全ての方におすすめです。
看護過程の参考書は文章ばっかりのものが多いのですが、こちらはイラストも豊富。
ぜひ手にとっていただきたい1冊です。
3.【理論別】看護過程のおすすめ参考書
この章では、看護理論別におすすめの参考書を紹介します。
今回紹介するのは、以下の2つの理論について詳しく、またわかりやすく書かれた参考書です。
はじめに、ヘンダーソンの『14の基本的ニード』についてのおすすめ参考書から見ていきましょう。
3-1.看護過程のおすすめ参考書|ヘンダーソンの『14の基本的ニード』編
ここでは、ヘンダーソンの看護理論に焦点を当てた参考書を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
事例でわかる 看護理論を看護過程に活かす本|事例があるからわかりやすい!
この参考書では、以下の人物の看護理論と看護モデルについて解説されています。
- ヘンダーソン
- ロイ
- オレム
- ペプロウ
- 家族看護モデル
- ゴードン
- ベナーの看護理論
それぞれの理論について図を用いて解説されているのですが、とにかく丁寧で分かりやすい点がおすすめポイント。
共通の事例ではありませんが、各理論を用いて事例に沿った看護過程が展開されています。
従って、理論によってフォーカスを当てるところの違いや、分析する際の視点の違いの理解が深まります。
複数の理論を扱う参考書だと、一つひとつの内容が薄いのではないかと思われがちですが、そんな心配は無用です。
この参考書は理論家の背景から看護理論の活用方法まで丁寧に解説されています。
分厚い本ではありますが、それぞれの理論家の考え方の違いを比較でき、「看護って深くて面白いな」と思わせてくれる1冊です。
実践 看護アセスメント ヘンダーソン・ゴードンの考えに基づく|何度も読み返したい1冊
こちらの本はヘンダーソンとゴードン考え方について、同一事例をもとに展開されている点が他の参考書にはない最大のポイント!
それぞれのアセスメントの違いが分かりやすく解説されています。
看護の基本的な考え方が書かれているので、ぜひ何度も繰り返し読んでほしい1冊です。
ヘンダーソンの考える看護やその活用方法から、ヘンダーソンの考えに基づくアセスメントガイドや看護援助まで広く網羅されています。
1つひとつ細かいステップに分けられており、丁寧な解説が理解を助けてくれます。
14項目について、どういう情報をとるべきかそれぞれ細かく記されている点も高ポイント。
ヘンダーソンとゴードンの看護理論に絞っているのでこの2つの看護理論の違いがより際立つ構成になっています。
3-2.看護過程のおすすめ参考書|ゴードンの『11の機能的健康パターン』編
ここでは、ゴードンの看護理論に焦点を当てた参考書を紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実習記録の書き方がわかる 看護過程展開ガイド|看護大学の教員にもおすすめ!
この本は、ゴードンだけでなくヘンダーソンの看護理論についても述べられているのですが、フルカラーでイラストも多いので読みやすいところがポイントです。
ゴードンの11の機能的健康パターンについて、ゴードン固有の用語の意味や看護診断との関連が解説されています。
また、これを用いたアセスメントの方法が具体例をもとに表を交えながら視覚的にも分かりやすく説明されています。
図が豊富なため、他の参考書よりも理解が深まりやすい構成になっています。
理論の解説の後、事例を用いたゴードンの11の機能的健康パターンで展開される看護過程が収録されています。
情報収集のポイントだけでなく、分類できない情報とその理由まで詳しく解説。
情報の解釈・分析の実例として、得たアセスメントがどのパターンに分類され、どんなアセスメントにつながるのか表にまとめられています。
また、アセスメントの書き方のポイントも余白に記載されているので、しっかり確認しておきたいところです。
看護大学の教員もおすすめの1冊。
アセスメント覚え書 ゴードン機能的健康パターンと看護診断|ゴードンでアセスメントから看護診断をしたい方へ
看護診断の世界的リーダーと言われるゴードンの11の機能的健康パターンを用いて、効率よくアセスメントと看護診断をするための本です。
その上で必要な情報や、質問すべき項目などをまとめています。
11の機能的健康パターンについて、1つひとつその枠組みの概要やアセスメントのポイントが書かれています。
臨床にそった内容なので、実習中の学生には得に理解しやすい構成です。
ただ、こちらの本は看護診断やそのためのアセスメントに特化した本なので、理論について詳しく知りたい方は3-1で紹介した参考書をおすすめします。
4.まとめ
ここまで何冊か紹介してきましたが、どの本も一度手にとって読んでほしい良書ばかりです。
実習期間が短く、看護過程が理解できないまま終わってしまった・・・という方も大丈夫。
これらの参考書で、理解が及ばなかった部分を埋めていってください。
また、看護過程が苦手なのは実は看護師も同じです。
ですが、看護師として働き始めてみるとより理解が深まっていくので安心してくださいね。