この記事では、看護学生のカンファレンステーマの設定法について紹介します。
看護学生のカンファレンスは、テーマが命。
しかし、どこからネタを見つけ、どのようなテーマを設定するべきかと問われるとなかなか答えられないもの。
そこで今回は、良いカンファレンステーマの設定法やネタの探し方について書いていきます。
この記事を読んで、実習で行われるカンファレンスを成功させるためのポイントを理解しましょう。
最高のテーマさえ決められれば、実習中のカンファレンスは、あなたにとっての味方になってくれるかもしれません。
1.看護学生のカンファレンスで良いテーマとされるのは?
看護師にとってのカンファレンスは、患者さんの看護ケアや治療における問題を、受け持ちナースだけでなく、チーム全員で話し合い、問題解決や改善に繋げることが目的です。
看護学生もカンファレンスを行う意義のベースは変わりません。
実習メンバーで情報を共有すること、主に実習における受け持ち患者についての看護介入やケア、実習の学びについてをテーマにすることで、他者の学びを自分のものにもすることができ、さらに学びを深めることができます。
そこでこの章では、悪いテーマと良いテーマの例を紹介します。
はじめに、悪いテーマ設定の例から見ていきましょう。
1-1.悪いテーマ設定の例
- 受け持ち患者さんと学生がコミュニケーションを取った時に拒否される旨の発言があった。→『患者に嫌われないように、コミュニケーションを取るにはどうしたら良いのか』
- 計画した看護ケアを患者が受けたくないと言っている→『患者さんがケアを受けたいと言ってくれるように仕向けるにはどうしたら良いか』
- 体幹抑制が必要な患者さんが抑制を嫌っているようだ→『どうしたら患者さんが抑制をしてれるか』
- 患者さんに何か介入したいがどうやったらいいのかわからない→『受け持ち患者さんにどのように介入するべきか』
いずれも看護学生である「私」が主語になっているテーマ達です。看護学生が患者さんに関わり、患者さんのサポートができるような看護を提供するためではなく、看護学生である「私」が実習をうまく乗り越えることができるために...ということが欲しい答えのように捉えられます。
1-2.良いテーマ設定の例
- 受け持ち患者さんとコミュニケーションが上手く取れないと感じており、自身で振り返ってみた→『患者さんのストレスに繋がらないコミュニケーションの取り方を考える』
- 看護計画に沿って退院指導に関するパンフレットを個別性を盛り込み作成した→『より患者に合った内容にするために、退院指導のパンフレットに必要な工夫とは』
- 医療安全の視点から行われなくてはいけない体幹抑制→『医療安全に配慮した、体幹抑制を行う患者さんへのストレス軽減に関する看護について』
- 退院したら独居の生活に戻る甘jさんを受け持っている→『患者さんが今のADLを維持しながら自立して生活できるために、今最優先で必要な退院指導とは』
これらのテーマに共通していることは、患者さんにより良い看護を提供したいと言うことをまとめている点、自分の看護介入の押しつけになっていないか、自分以外の視点を求めようとしているところです。
2.看護学生のカンファレンステーマ設定の3つのポイント
看護学生がカンファレンスを行う理由は、以下のとおりです。
- 個々の学びを共有することで知らない知識を得ることができ、学習の向上となる
- 他者の視点をもらうことで、新しい価値観の発見や問題解決に繋がる
この理由を軸に、カンファレンステーマを考えます。
さらにテーマ設定には、3つのポイントがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.より良い看護に繋げるための内容
カンファレンスを行うことの最大の意義はここです。
全ては『良い看護に繋げるため』におこなっているものです。
ですから、そのテーマで話し合った結果、そのテーマに関連する看護が良くなる方へと進んでいかなくてはなりません。
また、最初から良い看護とされているものを提供したのであれば、より患者さんへのプラスを増やしていくのがより良い看護と言えます。
「〇〇と言う介入をした⇒この介入はよかった」などと単純に感想を述べるだけではありません。
テーマの内容を話し合っても、その内容が深まったり、得るものがなければただの話し合いと違いがありません。
さらなる向上につながることをテーマとしましょう。
2-2.事例から状況を分類する
実習で受け持つ患者さんは、必ず以下の3つの状況のどれかに当てはまります。
- 入院中
- 療養中
- 退院時
患者さんが今どのような状況にいて、その状況で看護学生は何らかの関わりをもつはずです。
関わりについては、下記のようなものがあります。
入院時 | 情報収集、看護計画など |
---|---|
療養中 | 現在の看護問題の視点と修正、看護ケアなど |
退院時 | 退院指導、看護計画の振り返りなど |
カンファレンスを実施後、少しでも実習に活かせるリアルタイムな話題がより良いと言えます。
そうすると実習の学びが深まることに通じるからです。
カンファレンスをするのが実習何日目であるかと言ったタイミングや、患者さんの状況を照らし合わせてテーマを設定してみましょう。
2-3.『患者さん』が主語で自分以外のメンバーも関連するテーマ
看護学生が実習をうまく乗り越えるために、患者さんを操作するのではありません。
患者さんの看護の中に看護学生がが入ってくると考えてもよいのです。
ですから、患者さんが主語であることは忘れないようにします。
そして繰り返しになりますが、看護学生はカンファレンスは自分以外のメンバーも学びを深める目的で行っています。
そのため、自分だけに特化したテーマで答えを求めることを第一にしてはいけません。
他のメンバーの学びにも繋がる、答えが導きだせるテーマが必要になってきます。
そのため、誰でもありがち、陥りがちなテーマに基づいてカンファレンスをすることで、メンバー同士で学びを活かすことができます。
3.看護学生のカンファレンステーマ|ネタはどこから探す?
看護学生なら、カンファレンステーマのネタが見つからずに焦った経験があるのではないでしょうか。
ついには、実習中にカンファレンステーマの決定にまで行き着かず、実習の貴重な時間が押してしまうなんてことも。
カンファレンスの時間がきてから指導者さんの前でテーマを決めるなんてことにならないためにも、ネタをどこから探すべきかこの章を読んで知っておきましょう。
今回紹介するネタ探しに最適な場面は、以下の3つです。
ひとつずつ見ていきましょう。
3-1.患者さんとのコミュニケーションの中
看護学生が患者さんとコミュニケーションをとる中で、迷ったり、対応に悩んだりしたことは誰しもあることかと思います。
そして、どの実習でも、このような場面は必ずでてくるはずです。
患者さんとの関係を良好に保つことができると、患者さんを主体に考えた看護介入ができます。
そのため患者さんとのコミュニケーションについて話し合ってみるのはどうでしょう。
特に非言語的コミュニケーションは、人に寄って捉え方が様々です。カンファレンスでテーマにすることで多くの視点が見えてきます。
3-2.ヒヤリ・ハットの中
実習中にヒヤリ・ハットを発見、もしくは起こしてしまった事がある人もいるのではないでしょうか。
ハインリッヒの法則のように1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在すると言われています。
その300の異常は自身だけでは気づかない視点です。
実習中、そして看護師になってからも関わってくるヒヤリ・ハットについてテーマにするのはいかがでしょうか。
メンバー同士で話し合うと、自分ひとりでは思いつかなかった視点や問題点に気づくこともあります。
3-3.患者指導の中
実習の中でも、患者指導は、看護学生の実力が発揮できる場面です。
自身の受け持ち患者さんに対する看護で大切にしているところや、工夫が現れます。そのため看護学生のメンバーの数だけ大切に思う看護や工夫がでてきます。
それだけ多くの考えがあると言うことは、答えが無数にあり、難しく感じるかもしれません。
しかし、カンファレンスは必ずしも「これだ」という答えはないので、テーマが広げるられることはネタを探しやすいポイントとも言えます。
4.看護学生のカンファレンスに対する苦手意識の克服法
カンファレンスに対して苦手意識を持つ原因には、以下のようなものがあります。
- テーマにするネタがない
- テーマから話題が広がらずカンファ中に沈黙が続く
- 具体的な実習での学びを例に出し、話すことができない
上記のような原因は、カンファレンスのテーマやカンファレンスに引用できそうな出来事があれば、授業や実習中に随時メモしておくことで解決することができます。
カンファレンスは授業や実習で学んだことを素直に述べたり、メンバーの学びを共有することで自分の学びを深めるためにあるものです。
授業や実習中に思ったことは、その時のあなたの素直な気持ちや気づきです。
ですから、カンファレンスにそれらを反映させることができれば良く、難しく考えることはありません。
5.まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、看護学生のカンファレンステーマの決め方についてお伝えしてきました。
カンファレンスは、一見意味のないもののように見える方もいるかもしれません。
しかし、しっかり設定されたテーマで話し合うカンファレンスからは多くの知識や考え方などを得ることができます。
みなさんもカンファレンスのテーマ設定方法を極めて、意義のある時間を過ごせるようにしましょう。